修了生・現役生からのメッセージ

①博士論文提出を終えて

永瀬ゼミでデータ分析の面白さを知り、修士課程からデータの二次分析を行うようになりました。博士論文提出に際し、論文が雑誌に3編掲載されている必要があります。まず私は、修士論文の一部を査読付き論文としてまとめました。その後1編はWORK-FAMのデータを使用した論文、もう1篇は『国民生活基礎調査』匿名データを使用した論文をまとめました。しかし博士論文の構想が曖昧なまま進めたため、博士論文提出後も、大きな修正が必要でした。

9月に題目を提出、10月に博士論文第1稿を提出後、ゼミで予演会を実施して意見を頂きました。その後3回の審査会において、主指導の永瀬先生と4名の審査員の先生にご指導を頂き、2月末に公開審査会を開催していただきました。最終稿をまとめているときに、3回の審査会指導で論文がより精緻化したことを強く感じました。

お茶の水女子大学の校歌は、「みがかずば玉もかがみもなにかせん  まなびの道もかくこそありけれ」という昭憲皇太后から下賜された御歌です。私は、大学院で、永瀬ゼミで、自分を磨くことができました。また、長期間の履修となりましたが、仕事をしながらあきらめずに継続できたのは、社会人経験を持つゼミの仲間や、永瀬先生の叱咤激励があったためと感謝しています。

知脇 希 2017年度修了

 

②企業勤務と修士課程を両立して

わたしは、お茶大の家政学部(現生活科学部)を卒業してから、再び母校への受験にチャレンジしました。卒業した学部とは異なる領域でしたが、これからの世の中の変化に対応していくには、もう一度学びなおすことが必要と思い、母校への入学を決意しました。

わたしは、企業でフルタイム勤務ですので、2年間で卒業するのは自分自身にも負担がかかると思い、長期履修制度を活用し4年間在学していました。仕事と大学院との両立には、時間管理が最も肝となっていました。修士1年の時は平日が休日だったので、平日の1日を大学に行く日と決めて、講義に出席していました。有給休暇やフレックス制度等も最大限に活用して、ゼミ、修論、事前準備のための時間捻出に注力をしていました。また、集中講義を履修して、必要な単位は1年時にほぼ取り終わりました。

大学院では、研究領域だけではなく、多くの事を学ぶ機会に恵まれていました。また、企業にいては会うことができない先生、友達、留学生との出会いがあり、私にとっては、貴重な経験ができたと思います。また、若い学生の皆さんとは、修士という同じ立場で、フラットな関係性でした。私とっては、とても新鮮でした。私の苦手なことを教えてくれたり、就職の相談を受けたり、お互いにとってよい関係性が築けたのではないかと思います。

「人生100年時代」と言われていますが、社会の複雑な変化に対応していくためには、愚直に自ら学んでいくことは必要となってきます。再び学びなおすことも、これからは一つ選択肢だと思います。

入学当時は、卒業ができるのか不安もありましたが、思い切ってチャレンジしてよかったと思っています。(H)

③国際学会で発表して Labor and Employment Relations Association /Allied Social Sciences Association (Pennsylvania Convention Center,Philadelphia) 2014

2014年1月に、ASSA(Labor and Employment Relations Association /Allied Social Sciences Association)で発表するという貴重な機会をいただくことができました。この学会はアメリカ経済学会を中心とし、関連学会も合同で実施される大規模かつ学際的な学会です。最新の研究動向を知ることができるため2011年から何度か参加していましたが、発表の機会をいただけるとは思わず、素晴らしい経験を得ることができました。

語学力だけでなく、発表内容そのものにも課題が多くありました。日本の労働市場や女性の就業に関する特徴を十分に説明できず、日本についてもっと客観的に見つめなおし、その特徴を他者に説明できるようにならなければいけないと感じました。今後の課題としてさらに勉強し、目標とする英文ジャーナルへの論文掲載を目指したいと考えています。(2015年修了・寺村絵里子(明海大学経済学部))

④ 国際共同研究に参加して

〇「若者の教育費負担と奨学金の新しい方向性を求めて」2017年10月4日

2017年10月4日、日本経済センター国際文化会館において、掲題の国際会議を行いました。オーストラリアで先駆的な試みを始めたチャップマン教授(豪州国立大学)、イギリスの高等教育資金の研究をするディアデン教授(ロンドン大学)ら海外からの研究者を招聘し、日本側でも高等教育財政や奨学金制度に詳しい先生方が参加され、国内外の研究者35名が一堂に介して研究発表と討論を行う場となりました。日本の高等教育ローンと、所得連動型奨学金の国際的な経験、日本で行う場合の推計に関する研究です。

この研究は2016年9月にチャップマン教授と永瀬教授の出会いをシロー・アームストロング博士が企画してくれたところにはじまります。2017年2月のお茶の水女子大学でチャップマン教授、デアデン教授、日本経済研究センターや他の教育学関係の先生方との研究会を経て、2017年のこの大きい国際会議に永瀬研究室のドクター、マスターも協力することになりました。

「出世払い奨学金」「オーストラリア型の奨学金HECS」など、その後新聞等のニュース等でも話題になっています。研究者の方たちがチームを組んで共同研究をし、それぞれの専門分野から真摯に向き合って討論して研究内容を磨き、その結果が実際の政策決定、制度設計に活かされていくプロセスを垣間見たことは、研究者を目指す院生にとって気持ちの引き締まる貴重な経験となりました(M)。

(文部科学研究費基盤研究C15K03503(代表者永瀬伸子) および一橋大学経済研究所共同利用・共同研究拠点研究「奨学金と若者の経済負担、少子化の課題」(代表者永瀬伸子)の助成を受けています。)

 

 

 

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