日本心理学会第88回大会の公募シンポジウムにて富士通・お茶の水女子大学AI倫理社会連携講座の研究成果を報告しました。
登壇者:
企画・司会・話題提供:伊藤大幸(お茶の水女子大学)
話題提供:宮川祥子(お茶の水女子大学)
話題提供:斎藤悦子(お茶の水女子大学)
話題提供:新田泉(富士通株式会社)
指定討論:佐藤優介(慶応義塾大学)
要旨:わが国では女性の経済的活躍の進展が先進諸国に比べ大きく後れ、企業の採用、給与、昇進などにおいて顕著な男女格差が現存することが知られている。日本政府は「2020年代の可能な限り早期に、指導的地位に占める女性の割合を30%程度とする」という目標を定め、企業に女性の参画を促す取り組みを進めているが、未だ十分な成果は得られていない。男女格差の背景には、企業の人材評価における意識的または無意識的なジェンダーバイアスが存在することが指摘されているが、実証的なエビデンスは不足しており、実態は明確になっていない。また、そうしたバイアスをどのように低減していくかの方法論も確立されていない。こうした現状を改善するため、登壇者らの産学連携プロジェクトでは、社会科学のアプローチによる定性的調査と心理学のアプローチによる定量的調査を組み合わせて、国内の労働市場におけるジェンダーバイアスの実態とメカニズムを検証するとともに、そのエビデンスを活用し、バイアスの緩和を支援するAIの開発に取り組んでいる。本企画では、プロジェクトの途中経過を報告するとともに、バイアス緩和AIの実現に向けた構想について議論する。